新しい「ローソンPBパッケージ」買ってみて思うこと

「かわいい」VS「分かりにくい」など、いろいろ意見が出ているようですが。

以前、パッケージデザインのディレクションを業務としていたので気になった件。

「ローソンPBパッケージ」がリニューアルしていろいろ話題となっているよう。シンプルでカラーリングなど全体としての統一感はあるし、店頭でごちゃつかない品の良さがあるのですが。「今までにない=良い・売れる」ではないのは当然、開発の方もご理解なさっているとは思うのですが、なんとも奇を衒った印象があるのです。

前職では幾多のクライアントに、ゴチャゴチャと派手になる一方のデザイン傾向の中、何度もシンプル回帰のデザインを提案したことがありますが、いずれもすぐにド派手志向に戻っていったのを思い出しました。百花繚乱の中では「より目立つ」流れにのみ結局は戻ってしまうようです。今回はどうでしょう。

日経クロストレンドの記事にありますが「現時点でパッケージリニューアルによって売り上げが落ちている商品はほとんどない」と言います。発泡酒「ゴールドマスター」はクリーム色に変更したところ「クラフトビールのよう」という女性からの意見もあったそうで。でも発泡酒ですよね。ある意味これじゃ間違えられたクラフトビールも可愛そうな気もするけど。

「群」として見せるPBでは目立ちすぎるデザインは情報過多になりやすい、とのお話。でも情報が無さすぎるのも。そして「群」を意識するのは売り手側だけと思うのです。

使用時も朝食のテーブルに並んでいても違和感のないように、とのことらしいですが、テーブルに並べる前に冷蔵庫で見分け付きませんし。

ユニバーサル性は最低限担保したと言いますが、早速、思っていたものと違うハンバーグ買って来ちゃった(笑)お味は399円(税込)というお値段なりの満足感でした。

この視認性の悪さ、生産、流通の現場では支障が出ていないのかな?とも老婆心ながら思ってしまうほどに見分けがつかない。

商品によっては「点線まではがして」の点線がクリーム地に白点線だったりするみたいですね。この超高齢化社会の我が国において切り取り線さえ目立たないデザイニングはいかがなものか、とも思います。パッケージのアイコンとしての視認性、機能性を売り手の思いが凌駕した感じすらしますね。

それと気になったのは、シリーズ名というか、このスタイル全体のネーミングがないこと。「Lロゴ」はあって「L basic」などいくつかジャンルに分かれるみたいですが、ここに「無印良品」てな具合に・・・一発でシンプル回帰のデザインを訴求できる統一ネーミングを冠することを何故しなかったのか?これブランド戦略的にもすごく気になるのです。

こういう思い切った施策は「長い目で見てくださいね」という本気度が問われるかと思います。どこまで、このデザインで引っ張れるか?次のリニューアルで早速、カラフルなシズル写真のデカい、個々が主張するデザインに戻っていたら、その本気度はその程度のものということになりますね。