ビリヤニ考

好きなので私なりにいろいろ研究しております、全く独学&聞きかじりですが。

ビリヤニは簡単に説明すれば「インド風炊き込みご飯」これが好きなのです。

「ダム」という窯での炊き上げ式が本式のビリヤニ。地方によって様々なタイプがありますが、大きく分けて・・・半分ほど茹でた米とカレー(グレイビーソース)を層に重ねて炊く「パッキ」タイプ、半分ほど茹でた米とマサラやヨーグルトに漬け込んだマトンなどの生肉とで炊き上げる「カッチ」タイプ(ビリヤニで有名なハイデラバードなどの調理法)そして生米から炊き上げる「生米式・ヒンドゥー式」も含めると3タイプになるそう。

何れにせよ共通する材料でのポイントは「米」はバスマティライス「スパイス」はギー、ナツメグ、メース、クミン、クローブ、 カルダモン、シナモン、ローリエ、コリアンダーなどなどのホールスパイス、これが本格ビリヤニの証。

かき混ぜないで層にして炊くので部分毎に違う色をしているし、味わいもある部分はスパイスが香り、ある部分はプレーンだったり。一皿の中でその味のグラデーションを楽しむのが本格的ビリヤニ。ただ「生米式・ヒンドゥー式」はグラデが少ない、ほとんど無いこともあるので一概には言えないのですが。

ビリヤニといえば、東京での超人気店、新高円寺「本格ネパール•インド料理サラムナマステ」出来上がりを見ても本式は白い米の部分と混ぜています。

こちらは予約制ですがパーティー用に「一斗缶ビリヤニ」もやるそう。此方の説明では「ほんとビリヤニ」と「うそビリヤニ」が以下のように解説されていました。

こめながい・たいてる→ほんとビリヤニ
こめみじかい・いためてる→うそビリヤニ
こめながい・いためてる→ちょっとうそビリヤニ
こめみじかい・たいてる→たきこみごはん

このビリヤニは本来は婚礼や一族のお祭りなど、いわゆる「ハレの日」料理。いずれにしても一気に炊き上げるまでには時間もかかるし一定数しかできない。そのために沖縄はもとより東京でもなかなか正式な「ダム式」のビリヤニはいただけません。

ビリヤニとは別に似たような「プラオ(プラウ)」というものがあります。これは水に肉、スパイスを入れて煮込んで出汁をとり、その出汁(ヤックニー)をベースに作ったものに生のお米を入れて、日本の炊き込みご飯のように作ります。ただ、ビリヤニでも生米から炊き上げるタイプもあるので、店でも特に均一なカラーリングのもの(米部分とソースがまだらなのはビリヤニと見て間違いないです)はビリヤニとプラオ、厳密には区別は難しいような感じです。

ビリヤニとプラウを両方出す店で食べ比べたことがありますがビリヤニはスパイス感あり、辛味もあり、一方のプラウにはスパイス感はあっさり、辛味はそれほどなしとプレーンなイメージ、ある意味ではサフランライス的に具とスパイスの旨味が加わったバージョンという感じであったように記憶しています。味わいの強さを洋食でいうとビリヤニとプラウは「チキンライス」VS「チキンピラフ」みたいな。そのためにプラウには別にカレールーを頼んでかけて食べても美味しいのです。

さて、話を本題の「ビリヤニ」に戻しますが、東京などでも「ダム式」は数少ないようで、予め炊いたバスマティライスにグレイビーソースと肉を混ぜてチキンライス、チャーハン風調理で提供する店が多いようです。メニューにマトン、チキンなどいろいろ選べるようならこのタイプですかね(ダム式だとチキンのみとかになる)

それでも「グレービーソース式」でも米がバスマティライスでスパイスがホールスパイスイスラム式に豚肉以外なら十分に私はビリヤニとして満足です。米が立っているならなお最高。ホールスパイスでなくパウダースパイスの店も多いのですが、そこは百歩譲っても、最低限バスマティライスでないものはインドチャーハンでしかない、というのが私としての本音でしょうか。

これを松竹梅で言えば・・・

松:「ダム式」(米から炊き上げ式)
こちらの画像、メニュー名も「ハイデラバディ ダム ビリヤニ」古い画像しかなくてサイズがかなり小さめですがライスがグレービーと白いご飯でまだらになっています。

竹:炊きあがったバスマティライスで「グレービーソース式」

【2021.04.20 追記】
このバスマティライスをグレービーソースで合えるバージョン、これが一番我が国では多いように思うのですが、さらに言及すれば・・・まずはバスマティライスは必須として、香りをホールスパイス、そして具材はタンドリーティッカ(タンドリーティッカの中で一般的には骨付きをタンドリーチキンと呼びますが、それを解したものでも良しです)であるものが「竹」の中でも「上」ではないかと思うのです。個人的には、最近はハードル低めで設定してバスマティライス・ホールスパイス・タンドリーティッカの3ポイントの中で2つ満たしていたら上等という感じです。

梅:日本米の「インドチャーハン」

これは、ベチャッとしたチャーハン風。パウダースパイスなら自宅でもできちゃう方も多いのでは?これは個人的にここまでになると非ビリヤニです。

となりますかね。具材で言えばやはりクセのある肉の香りとスパイスの香りの臨界点を楽しめるという意味でマトンが一番私は好きです。

「番外編」として冷凍のビリヤニをレンチンという店もあります。

日本橋の某店のメニューでは「インド風炒めご飯」になっています。シズル、具材が選択できるところを見ると「松」ではなく「竹」か「梅」ですかね。東京でもこのスタイル多いようです。

「ポロバシカレーハウス&スパイスセンター (PROBASHI CURRY HOUSE & SPICE CENTER)」のスタッフが「ビリヤニにライタは必須」と仰っていたようにライタは付いています。

そうなると、沖縄では殆どのインネパ料理店でもビリヤニがメニューにない中で(あってもグレービーソース式・インドチャーハン式が多いのです)生のバスマティライスから炊き上げている、このチキンビリヤニ。カレー系がメインの店ではないにもかかわらず、この某店のビリヤニは上等・本格的と思います。